かかかかかかか、と遠くで硬質な連続音が聞こえるのを、ライラ・アクティは目の前の相手と似たような音で木剣を打ち鳴らしながら耳に入れていた。恐らくはどこかで自分たちと同じように剣の稽古をしている誰かのものであろうが、なんとも強烈かつ素早い打ち合いだ。あれほどの力はまだ私にはない、と、集中力を失わない範囲で彼女は感嘆する。流石はこの騎士の国レムルスが誇る精鋭騎士団、聖騎士団の団員だ。今は彼女に合わせた速度で剣を合わせている相手――彼女の師たる、神速の剣士とも渾名されるサージェン・ランフォードにとってみれば造作のない程度なのであろうが……
このように日々真面目に修練をこなしていればいつかは、師のように、とまでは行かないにしろあの剣の主のような技量を身に着けることができるようになるであろうか。音と同期させるように剣を幾度か素早く振るってみた所、速度に気を取られて僅かに甘くなった太刀筋を指摘するかのようにサージェンに強めに剣を払われて、まだ自分がその段階にはないことを再認識した。
〜 第4話 黒い狐と金の猫
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レムルス王国聖騎士団の事件簿
異世界ファンタジー・一話完結型長編・連載中
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レムルス王国最高の誉、聖騎士団に配属された新米騎士ライラ・アクティは、二人の先輩とともに王妃自ら任務を与えられる。その任務とは、王子の護衛と魔物退治だった!?
少女と不良と辣腕天然剣士。三人の聖騎士団員に未来は果たしてあるのだろうか……。第4話まで完結。
◆ DL版(txt) 第3話まで。 ←NEW
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