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術士と精霊の結論・2



「……これはまた派手にやられたな」
 アカデミーの医務室の診療対象は、人間のみならず精霊にも及ぶ。
 爆発を聞きつけて集まってきた魔術士たちは、周囲の惨状に息を飲んでから、私とマキシと、実験を行っていた見習い魔術士を即座に医務室へと搬送した。
 見習いは、あの大爆発の中にいた割には奇跡であると言える、かすり傷程度の怪我で済んでいた。爆発のベクトルが完全にこちらに向いていたからだ。しかし牙を剥かれた対象である私の方はかすり傷一つ負っていない。
 深刻な重傷を負ったのは、寸前までその場にいなかった――あの瞬間、主を護るその為だけにどこからか跳んできた、マキシただ一人だった。
 今、私の精霊は、医務室の飾り気のないベッドに横になり、昏々と眠っている。銀色の絹のような髪を枕の上に流し、真っ青な顔に大きな絆創膏を貼られて目を閉じるその姿はまるで、……
 ……不吉な予感に苛まれたまま、私は喉を震わせた。
「助かるの……?」
 ベッド脇に立ち尽くす私の口から出てきたのは、我ながら情けない、途方に暮れた子供のような声だった。
 ――しかし悲壮な私の声に対する初老の医務室長の回答は、思いもよらない程に大変お気楽なものだった。
「はっはっは。肉体的な怪我じゃ精霊は死にゃあしないさ。精霊の、人間界に於ける肉体の強度自体は人間と変わらんが、魔力の桁が違うからな、どんな大怪我だって自己治癒が可能だ。そもそも精霊にとって、人間世界での肉体なんてものは仮の依り代に過ぎない。万が一首がちょん切れたり爆裂四散したりした所で、精霊世界に一旦退避して肉体を分解・再構成すりゃ元通りだ。まあそうなるとそれなりに回復には時間は掛かるようだがな」
 がっはっは、という感じに笑う医務室長を、私は首だけで振り返り、ぱちぱちと目をしばたいて見る。
 ……そ、そりゃまた。心配して損したとまでは言わんが、滲みそうになった涙も引っ込むチート振りだ。どんだけ無茶苦茶な生物なんだ精霊。
 唖然とする私を見ながら、医務室長はほんの少しだけ、声を医療従事者らしく穏やかなものにし、付け加えた。
「精霊にとって深刻なのは、肉体の怪我よりも精神の消耗の方だが、そちらも問題はあるまい。咄嗟に強い魔術を使ったからかだいぶ消耗しているようだが、この分なら一週間もすれば目を覚ます。まあどの道身体的には、暫くは絶対安静の身だ。後はわしらに任せてお前も休んでおれ」
 ばん、と背中をどやされて、私はたたらを踏んだ。おいこら怪我はしてないが、酷い事故に遭遇した直後なんだ。丁重に扱え。
 ――事故。
「一体、何が起きたんだ……?」
 ここに至って漸く、マキシの病状以外にも思考が割り振れるようになってくる。マキシの眠る病室を出た私は、廊下でぽつりと独りごちた。
 マキシは現状この世界で最高の力を持つ精霊だ。……その筈だ。
 それが、間違いなく……力押しで負けた。
 それも――
 ふと、廊下の少し離れた場所から声が聞こえてきて、私はそちらに顔を向けた。
 調査員に囲まれている見習い魔術士が、動揺のあまりにマキシ並に顔面を蒼白にして訴えている。
「四属性の属性実験を行っていて……、ぼ、ぼく、四属性を召喚された、ネルヴァさんに憧れてたんです。ぼくじゃ発動すら無理なのは分かってたんですけど、でも技術だけでも勉強させてもらいたいと、召喚魔法陣の研究を……、で、でも安全回路はちゃんと描いていたんです、本当です」
 それは私に向けられた声ではなかったが、私はその声に口の中で小さく答えた。それは間違いない。安全回路にミスはなかった。
 安全回路というのは魔法陣に意図せぬ魔力負荷が掛かった場合、警告を表示したり、その魔力を無効化して発動を中断させたりする一連の制御陣形だ。魔術の研究開発には欠かせない、事故の防止に非常に重要な部分で、多少魔術の研究に携わった者ならその重要性は骨身に染みて分かっている――ごく弱い魔術でその辺を省略し、ギャーって事になった経験は結構誰しも持ってるものだからだ。それだけに、失敗したらギャーじゃ済まない規模の実験で安全回路に手を抜く馬鹿はいない。規模に応じて二重三重の防御を施して、万全の態勢で臨む。
 今回の魔法陣は私が十分検証したものなので基本的には問題ないが、この見習い小坊主(多分年上)が転記する時に魔術文字を間違ったりしていたら意味がない。それを危惧して私が窓から覗いた時に真っ先に確認したのもそこだったのだが、特に問題はなかったように思えた。
 そもそもが――不可解な点はそれ以前の段階にある。あの小童(年上)の魔力量から考えれば、安全回路以前の問題で、発動に必要なエネルギーすら生じ得なかった筈なのだ。人間の魔力量は厳密には機器を用いて測定するものだが、身体から発せられる魔力の気配で魔術士同士ならば大体のところは分かる。どう見てもあのガキ(略)の魔力はこのアカデミー基準では人並みかそれ以下だ。
 何か私の術式に見落としでもあるのだろうか? ある特定の波長の魔力保持者が使えば意図しない結果を生じるなどと言った……
 自分の脳内にしっかりと描き込んである陣図に没頭し始めた私に、ふと声が掛けられた。
「ミカエラ」
「何? 今忙しい」
「うちのとマイナのとが、何かお前に話があるんだと」
 その言葉に私は顔を上げ、声の主、ハスリムに視線を向けた。
 他所の使役精霊が、主人以外の魔術士に話とは珍しいことだ。無論会話が出来ないわけじゃないが、人間側から話し掛けない限りは普通、精霊は他の魔術士と雑談することはない。これは礼儀の問題であるようだ。
 こちらからしてみれば別に礼を逸する行為であるとは思わないので不思議な風習だとしか感じないが、しかし精霊がそう考える行為をわざわざ行って来るとはただ事ではない。私は進み出てきた精霊に顔を向けた。
 ハスリムの使役精霊は、見るからに火属性っぽい、燃え盛る炎のような真っ赤な髪をした男性である。精霊の例に違わず整った顔立ちをした青年は、一礼すると単刀直入に申し述べてきた。
「貴女様の使役精霊、マキシと呼ばれますかの者を攻撃した力ですが、あれは、最高精霊による精霊世界からの攻撃です」
「なんだと?」
 精霊世界からの攻撃? そんな事が可能なのか?
 未だかつて聞いた事のない事象に驚愕する私に、精霊の青年は淡々とした口調で説明する。
「非常に強力な力を持つ一部の者に限りますが、精霊は、人間世界で行使される波長の近しい召喚術に乗じ、精霊界に身を置きながら人界に影響を及ぼす事が可能です。最高精霊は、貴女様にお仕えする四属性精霊の縁者にして、鏡写しと言って良い程に似通った性質を持つ精霊です。属性もまた鏡写し……完全な逆属性ではあるのですが、かの者を召喚した魔法陣であれば、干渉は十分に可能である筈です」
「マキシのお祖母様って奴か」
 最高精霊、という役職名(?)は、以前マキシの口から聞いた事があった。確かお祖母様と言っていた。精霊にも血縁関係ってやっぱあるんだーと呑気に思った記憶がある。が、そこは今はとりあえず無関係な部分だろう。重要なのはただ一つ。
「何の為だ」
「それは……恐らくは、警告でしょう。貴女様と、貴女様の精霊への」
 警告を受ける理由は、精霊は述べなかった。……言わずともこちらが理解していることを察しているからだ。
 マキシは私に、恋愛対象として好意を持っている。だが、精霊が人間に恋をするという事は、その人間と同じにまで残りの寿命を縮めてしまう、精霊にとっては最大級の禁忌であったのだ。もしかしたら、むやみに他の人間に話しかけてはならないという精霊の謎ルールの由来も、単純に礼儀の問題と言うよりは、その辺りに絡む物であるのかも知れない。
 しかし、それはさておき。
「警告って、あれ、私を殺す気満々だったんじゃないか?」
 辛くもマキシが防いでくれたが、あれは当たっていれば人間など確定で死んでいたレベルだ。マキシの膨大な魔力を以ってしても相殺しきれずに、あれだけのダメージを負わせてしまったのである。対抗手段を持たない人間など一瞬で蒸発してもおかしくないだろう。
 続けて疑問を口にすると、それについては精霊は「いえ」と否定した。
「人間に明確な殺意を持って攻撃する事は、精霊にとっては不可能に近い程難しい行為です。あれは確実に貴女様の四属性が防御に入れると確信していたからこそ出来た攻撃だと思います」
 まあ確かに思い返して見れば、運動神経については比較的壊滅的である私が、現象をある程度認識して、回避を試みようとする程度の時間的猶予はあった。あれはマキシが気付くのを待っていたという事か。
 がしがしと髪を掻きながら私はちっと舌を打つ。何とも面倒くさそうな手合いだ。あの性悪マキシの血縁であるらしい所が特に。
「……貴方はマキシの古い知り合いなんだそうだな」
 ふと、余り脈絡なく私はそんな事を思い出して、目の前の火属性精霊の青年に尋ねてみる。他人の精霊の意見を聞く機会というのは余りない事だ。青年は「はい」と頷いた。
「貴方一個人としては、マキシのしている事をどう思う? 精霊が人間の為に、寿命を削るような真似は愚かしいと思うか?」
「貴女様は私が反対すると申し上げたら、あの方を諦めるんですか?」
 私の問いに、精霊は質問で返して来た。そう来るか。
「諦める……諦めるか。そう言うと、まるで私があいつを望んでいるみたいでなんかやだな」
 私はさも不服そうに唇をひん曲げて呻いて見せた。だが、それが単なる意地と言うか、ポーズに過ぎない事くらい、自分でも分かっていた。今となってはその指摘は大体合っている。私はマキシを好ましく思っている。あれはいい精霊だ。何事に於いても優秀だし、根性悪だが悪い奴じゃない。出来れば、手放したくない。……諦めたくはない。
 でもその反面、諦める用意はいつだって出来ている。寿命を削ってまで傍にいたいなどと思う感情――マキシは純粋な愛だと固く信じているその感情を、私は愛情だとはどうしても思えない。それは、ただの執着と言うのではなかろうか。
 だが――
「だが、あいつが苦しみ抜いてでも欲しい物があるというなら、一緒に苦しんでやろうと思う。短い付き合いだが、その程度には好ましく思っている」
 思考の途中経過を大幅に省いた結論を告げた私を、火属性精霊はまばたきもせずにじっと見つめた。見た目は私と大差のない年代の青年だが、マキシと幼馴染みと言うのなら、二百年程度は生きた存在である筈だ。見た目はやんちゃな兄ちゃんっぽい容貌をした精霊は、どこか老獪である眼差しで私を見つめたまま、ゆっくりと、神官が説教するように厳かに、唇を動かした。
「精霊は、己が魂を賭けるに足るものに従う事を、至上の喜びと感じます」
 ……その言葉が直前までの問いかけにどう繋がるのかが、私には一瞬分からなかった。私も人の事を言えた義理じゃないが、こいつも大概思考の途中経過を省く癖があるようだ。この返答は、要するにマキシは好きでやってるんだよね、という事実の再確認であるわけで、そこに不愉快を表明する言葉が挟み込まれていない以上、マキシのやってる事を否定するつもりはない……って解釈でオーケーだろうか。
 ああ、ついでに言えばこれも入るかな。
「ってことは最高精霊も、何かに自分の魂を賭けてるんだな」
 その返答に、火属性精霊は少しだけ驚いたように瞼を開いて見せた。あれ。これは含まれてなかったかな。まあいいや。
「オーケー。心して掛かるわ。サンキューな」
 ともあれ私の方はこれで満足したので礼を言い、親指で下唇をぽりぽりと掻きながら、しばし思考を纏め上げることに専念する。
 マキシ。最高精霊。魔法陣。精霊世界からの攻撃。
 私がすべき事は――何か。
 ――その場にぼんやりと突っ立って熟考を開始した私を置いて、ハスリムと精霊は去って行ったようだ。私が考え事を始めると、そこがどこであろうとも他人の言葉が一切耳に入らなくなる事を長い付き合いで奴は知っているからだ。
 暫くそのまま思考を続け、やがてマキシの病室を出て来た医務室長に、私は背中を向けたまま、ぽつりと呟いた。
「魔力量測定をしたい。すぐ準備してくれるか」
「構わんが、誰のだね」
「私の」


 一週間後。かつてマキシの召喚を行ったのと同じ実験室で、私は精霊召喚術に挑まんとしていた。
 この召喚術を『成功』させる為に、私はこの一週間、不眠不休で努力してきた。この件に関する過去の記録を片っ端から漁り、綿密に計算を重ね、召喚術式を厳密に調整し……正しく寝る暇も物を食べる暇もなく忙しく働き、一週間という『期限』にどうにか間に合わせた。
 一週間。この間に私はどうしても、これを実行に移さねばならなかった。何故ならばこれは、マキシが意識を喪失している今の内に行わなければならないから――奴が正常な状態であったなら、どんな手段を用いても妨害して来るであろう、あいつの望みの対極に位置する行為であるからだ……
 以前、マキシの召喚術を組み上げた時は隠密裏に計画を進行させなければならなかったので、長い時間を掛けて全て自分一人で準備したものだが、今回は時間的にも体力的にもそんな余裕はなかった為、やむなく色々とマイナに手伝って貰っていた。私が計画を話し聞かせた時にはさしもの友人も驚愕して絶句したものだが、友情と言うより恐らく魔術士としての学術的興味から進んで手伝ってくれた。今も、実際の召喚術を見学する為に、部屋の隅に控えている。
「よし、やるか」
 術式の最終チェックを終え、私は魔法陣の前にすっくと立ち上がった――途端、立ち眩みを感じてふらりと身体を傾がせる。マイナが慌てて近寄って来て支えてくれようとしたが、たたらを踏みながらもどうにか私は自力で転倒を免れた。……もしかしたら、ふざけた奴だが義理人情には結構厚い所のあるこの友人がここにいてくれているのは、やっぱり純粋に私の体調を心配してくれての事なのかもしれない。
 良い奴だな、こいつ。傍目に見たらきっと幽霊か何かに見えそうな程に青白い顔をして、目の下に大きなくままで作って大魔術に挑もうとしている無謀な人間を見たなら、私だったら止められなければさっさと逃げてるぞ。
「本当に大丈夫か、お前」
 マイナが心配そうに声を掛けて来るが、私はきっぱりと言い放つ。
「大丈夫だ。……大丈夫じゃなきゃ困る。チャンスはこの一回きりしかないんだから」
 足腰に力を入れて踏ん張って、私は再び立ち上がり、足元の魔法陣を睥睨した。



 声が聞こえる。
 清く冷たく澄み渡る、清流のせせらぎの如き耳に心地よい呼び声。
 誰よりも愛しく、誰よりも貴い、僕の命そのものである、我が主のお声。
 ――その名は。

 ミカエラ様。

 愛しき主の――愛しき人の名が、僕を覚醒させる。
 瞼を開く。白い壁と白いカーテン、そして白衣を着た男の姿が視野に入る。しかし僕は感覚を己が置かれている状況の把握には費やさず、ミカエラ様の位置情報を探る事のみに向ける。半秒もせずに、やや離れた座標にあるそのお姿を掴み、僕は、予備動作もなく跳んだ。


 ミカエラ様がおられたのは僕が覚醒した部屋とは打って変わった暗さと涼しさの一室だった。その環境と空間内に満ちる魔力の濃度で僕は悟る。ミカエラ様は、魔術を行使しようとなさっている所であったようだ。暗い場所が特に魔術に適しているという事はないが、人間は、魔術行使に際して意識を純化させる為に最も自分が集中し易い環境に儀式の場を整える。ミカエラ様の場合、薄暗い洞穴のような環境がそれに当たるらしい。
 地面に描かれた大きな描画式魔法陣の前に立っていたミカエラ様は、唐突に室内空間に現れた僕に気付き、顔を振り向かせた。
「マキシ。目が覚めたんだ。……よかった」
 ミカエラ様は柔らかく微笑んで見せられたが、僕は顔を強張らせたまま、その足元に広がる魔法陣を凝視し続けていた。
「何をなさっておられるのですか」
「見りゃお前なら分かるだろ。ちょっとした召喚術だよ」
 ――ああ――
 足腰から力が抜け、僕は力無くその場に膝を衝く。
 絶望というのは、まさしくこのような心境の事を言うのか。
 ミカエラ様がまさに今、起動されようとしている魔法陣は。
 僕とは真逆の属性にして、鏡写しと言ってよい程に似た、『火』主体の四属性精霊召喚陣。
 疑うべくもなく、最高精霊――僕のお祖母様を喚び出す為の魔法陣であった。
「僕の……所為ですね……僕が不甲斐ないばかりに……」
 その術式を、端から端まで確認し、首を左右に振る。流石は我が主。悲しいまでに完璧だ。主のお力をもってすれば、召喚成功は間違いない。
 僕は視線を上げ、愛しき人のお顔を見た。随分とご無理をなさったのか、肌は青白く、頬が削げ、……けれども凄絶なまでに美しい。
「ああ、それ程までにおやつれになって」
「ちょっとダイエットをだな」
「それ以上細くなってどうすると言うのです」
 泣き笑いの顔で微笑みながらそう言うと、ミカエラ様も僕が全てを察した事を汲み取って目を細めた。
「心配掛けた。でも、もう大丈夫だ」
 言って、僕から視線を外し、背中を向けて魔法陣へと向き直る。そして魔法陣に対して両腕を差し出し、小声で呪を唱え始めた。
 その様子を、僕はその場にへたり込んだまま見守るしかなかった。本当は、泣き叫びたかった。僕を捨てないで下さいと縋りたかった。けれども僕には、力の及ばなかった僕には、我が主が僕を護る為にと取ってくれた決断を遮る資格はない。
 魔法陣が輝きを増す。地水火風の幻影が、力を蓄えて顕現する。ミカエラ様の呼び掛けによって、人間世界と精霊世界との境が一時的に希薄になる。精霊世界の門が――開く。
 それと同時に、僕は、自身の存在が人間世界から確実に薄らいでいくのを感じていた。
 ――人の魔術士が一度に二人の精霊を持つことは不可能。自動的に、力の弱い方の精霊との契約が解除される。
 急速に世界と乖離して行く意識の中、僕はただ一言、告げた。
「ミカエラ様、お慕い申し上げております、永遠に」
「……うん」

 簡単でぶっきらぼうな返答が、けれども確かな頷きと共に、僕に返され。
 僕の存在は、人間世界から消滅した。

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