CRUSADE〜The end of "CRUSADE" Chapter 8 #48 |
――お前は、何を望む? 繰り返される問い。いや、自ら繰り返してきた問い。 空気や水と同じように、望みもまた人の最低限の糧の一つ。それが世界人類の平和だとかいう尊き望みであろうと、汚れた欲望であろうと、根となる意味、生の糧である事には変わりはない。富を望む者。奪う事を望む者。傷つける事を望む者。他者の幸福を望む者。笑顔を望む者。孤独を望む者。愛を望む者。死を望む者。――全ての望みは生きる為に在る。自分を、自分として最後まで生かす為に在る。そこには優劣も貴賎もなく、ただ存在するのは、その思いの強弱だけである。惰弱な思いは渇望に淘汰され、無へと帰す。 だから、私も強く望む。そのために生きる。漆黒の褥の中で。生きる糧を得る為に生きる矛盾に自嘲しながらも。 ――何を望む?……暗黒魔導士よ。 問いに答えるべき思いはただ一つ。 私の望みはただ一つ。すべての終焉。ただそれだけを。 「ルージュ、ブラン」 暗黒魔導士の静かな呼び声に答え、彼の背後に、鎧を身に纏った二人の少女が音もなく膝をつき、頭を垂れた。そしてそのまま微動だにせず、暗黒魔導士の告げる次の句を待つ。 彼は漆黒のローブの裾を翻して彼女らの方を振り返った。 「赤騎士団、白騎士団、出撃の準備を。目標は聖王国ヴァレンディア王都ヴァレンディ。我らがアウザール帝国が誇る二大騎士団の力をもって、レムルス王太子率いる反乱軍を叩く」 「はっ」 ごく簡潔に、しかし慇懃に任務了解の意を表し、二人の少女、ルージュ・シャルードとブラン・シャルード――アウザール帝国軍二大騎士団、赤騎士団と白騎士団を統括する騎士は立ち上がった。彼女らが立ち上がった以上、これから一時間もせずに、臨戦態勢をとる事ができるだろう。帝国内外にその名を轟かす騎士団が。 「……失礼ながら、ラー様」 少女らがその場を去った後、不意に、遠慮がちな声を横合いからかけられ、暗黒魔導士はその方を向いた。やや俯き加減に立つ、彼と同じような漆黒のローブの少女を見る。 「どうかしましたか、ノワール。言ってみなさい」 はい、と少女――ノワールは小さく頭を下げてから、顔を上げた。 「怖れながら。魔術士を含むとはいえたかだか数千規模の反乱軍相手に、二大騎士団を差し向けるのはいささか大袈裟な対応ではないでしょうか……。そこまでせずとも奴等ごとき、我が黒魔術士団が……」 「そう思いますか?」 やんわりとした口調で、暗黒魔導士がノワールの言葉を遮る。さっと口を閉じた彼女を見やりながら、暗黒魔導士は小さく微笑んだ。 「そうですね。純粋な力の差だけで見れば、そうかもしれない。でも……」 ふと呟きかけて、暗黒魔導士は口許を手で覆った。別段、口に出すのを憚られる事だというわけではないが……一旦口に出してしまえば、きっと一言では済まなくなるだろうとは、思う。 ほんの少しだけ、怪訝な表情がノワールの顔に浮かぶ。暗黒魔導士は呟きを苦笑に変えて口から吐き出した。 「とにかく、私は大袈裟とは考えていないのですよ。それに今回、皇帝陛下から命じられた任務は少々難しいものですしね。まだ、反乱軍全軍を殲滅せよと言われた方が簡単かもしれない」 「任務、とは……?」 反乱軍の殲滅以外には頭になかったノワールが理解しかねて上げる疑問の声に、言葉を選びながら暗黒魔導士は返す。 「宝石の回収、と言った所ですか」 無理もないが、ノワールには言葉の意味は理解出来なかったようだった。だが、そう何度も聞き返すのは美徳ではないと考えたのだろうか、再び問い返しては来なかった。 深遠なる闇の中―― 「彼は……終焉にどう立ち向かってくるのでしょうね……」 暗黒魔導士は、小さく独りごちた。 眼下に広がる大地を見下ろしながら。 ウィルは、ともすれば喉の奥から漏れそうになる溜息を殺すように奥歯を噛み締めた。 フレドリックとヴァレンディアの国境。そこに広がる大草原が、地平線に沈みかける太陽に赤く照らし出されるその光景は、絶景として名高いものであったが、今のウィルにはそれが、つい先刻までその場で繰り広げられていた血みどろの戦いを象徴するもののようにしか見えなかった。 まだここは、地理的にはフレドリックに位置する区域だが、元々フレドリックとヴァレンディアの王都はそう離れた場所にある訳ではない。ここまで来れば、あと一週間もせずに王都ヴァレンディに入る事が出来るはずである。何事もなければ、だが。 「とうとう、ここまで来たな」 感傷に浸るようなその台詞を耳にして、ウィルは声のした方を訝しんだ眼差しで振り返った。 「らしくないぞ、カイル。そんな事言うガラかよ」 「お前の台詞を代弁してやっただけだ」 二言目はその言葉面通り、何の感慨も含まない声音だった。カイルタークは別にヴァレンディアと縁がある訳でもないのだから、それが当然なのだが。だが多少ウィルはむっとして、僅かに眉をつり上げた。 「俺だって……まぁ、何も感じないといえば嘘になるけど、浸っているほど暇じゃない。嫌な確証も深まった事だしな」 「ほう?」 試すような口振りで、問い返してくる。それに応えるのは少し癪だが、だからといって拗ねて何も言わないのも子供じみていると思って唇を開く。 「フレドリックを出てからここに至るまでの帝国の戦略は正直、お粗末なような気がしていた。ここ数日で幾度か帝国軍との衝突があったが、どれもいまいち熾烈さに欠けていた。波状攻撃をかけ徐々にこちらの戦力を奪って行こうとする作戦かとは思ったけど……」 呟きながら、ウィルは再び視線を地平線の方へ向けた。特に意味はないが、遥か遠い地平線から次第に近間へと視野を移す。辺りは一面の平野で、キャンプを張るに適した森などもないので、遊牧民族のように草原の真ん中にテントを張る羽目になってしまったが、警戒さえ怠らなければ視野の開けた場所で休むというのも特に不利にはならない。こちらには索敵能力に長けた魔術士も多い。 「その気を出せば、つまりは、主力部隊を動かせば、そんな回りくどい事をしなくても済むはずなのに、どうしてなのかなと思っていたんだよ」 「考えるまでもないのだろう?」 ――やっぱり試してた。 憎たらしそうにカイルタークの顔を睨めつけながら、しかしウィルは頷いた。 「そう。敵は全勢力をヴァレンディの渓谷でぶつけて来るつもりだ。思うように身動きの取れない俺達の息の根を、完全に止める為にね」 「……厳しくなるな」 カイルタークは小さく呟いたが、ウィルは今度は頷かなかった。 ふわり、と、ウィルのダークブラウンの髪を、赤い風が揺らす。ふと、カイルタークは顔を上げ、なだらかな傾斜が形作る大地を見下ろした。と―― 「ウィルー」 なだらかな丘の、やや位置的に彼らの下になった方――キャンプの設営が行われている方から、手を振ってくる見慣れた姿に、ウィルは頬を緩ませた。 「おー、ソフィア。どうした?」 「もうすぐ晩御飯が出来るって。……それと、ディルト様そっちにいるー?」 「いや、いないけど」 「ふうん、じゃあ捜しに行こうっと」 「……俺も行く」 「ウィル」 ソフィアの声に応えて歩き出したウィルを、カイルタークは呼び止めた。 「何?」 「失いたくなければ、気をつけろ。勝負をかけてくる」 「分かってるさ」 今更何だよ、と、眉根を寄せる。 「被害は最小限に押さえられるように、これでも色々考えてるんだよ」 「解放軍の話ではない」 あまり表情を見せないカイルタークの瞳が、一瞬だけ険しくなったようにウィルには見えた。だがカイルタークはそれ以上何を言うでもなく、視線をウィルから外し、茜に染まった空を見上げた。 「……分かってるよ」 独りごちるように呟いて、ウィルはソフィアの方へ再び歩き出した。 「で、ウィルは何が欲しい?」 スプーンをぴこぴこと揺らしながら、じっと見詰めてくるソフィアに、ウィルは食事の手も止めずに聞き返した。 「何のこと?」 「お礼がしたいの。フレドリックで、何だかんだ言っていろいろ買ってもらったでしょ、ほら、これとか」 言いながら、スプーンを持っていない方の手の甲を、ソフィアは彼の方へ向けた。小さな石のついた指輪が、薬指にはまっている。確か、フレドリックの城下町で買わされた、結構値の張ったあれだ―― と認識するよりも先に、ウィルは口の中に含んでいたシチューを吹き出した。同時に。 「指輪よ指輪、それも左手の薬指! いやーんウィルくーん」 「いつのまにそこまで進展してたんですか隊長ってば」 「ひゅーひゅー」 「やかましいっ!」 周囲から無分別に上がった声に口許を拭いながら一喝したが、収まる気配はなさそうだった。一応はやし立てる声は止まったが、好奇の眼差しは完全に二人に集中している。その一方、ソフィアといえば、案の定よく分かっていないらしく、スプーンを揺らす手すら止めていなかった。 「君さ、なんだってこういう野次馬根性旺盛な奴等がいる所でそんな事言い出すかなぁ?」 無駄だとも知りつつ口から漏れたウィルのぼやきにソフィアは、 「……何を?」 呑気な笑みを浮かべたまま、首を傾げていた。ウィルは嘆息を堪え、横から彼を覗き込むように向けられたにやにやとした視線に、苦虫を噛み潰したような顔を向ける。 「何ですかライラさん」 「ウィル君、もういいじゃない。一線越えちゃった今、もう恥ずかしがることなんてないでしょ」 「越えてませんっ!」 「一線?」 「ソフィアは黙っとけ!」 半ば怒鳴るようにそう言われて、ソフィアはちょっと不服そうな顔をしたが、実際展開がよく分からなかったので、言われた通りに口を閉ざした。 「だからですねぇ、俺はー……」 「なあに? あっ。また言っちゃうの? ソフィアちゃんの事を何とも思ってないとか……」 「……言いませんけど」 再び上がる口笛の音。 内心、やられたと思いながら、ウィルは手早く残りを口の中に流し込んだ。 「御馳走様」 「あ、ウィル、待っ……みゅっ」 何か喉に詰まらせたのか、変な音を立てて咳込み始めるソフィアを置いて、ウィルは席を立った。 「で、ウィルは何が欲しい?」 草の上に寝転がるウィルを真上から見下ろしながら、さっきと全く同じ台詞を、やはり同じにこにことした表情でソフィアは言ってきた。 人の輪から外れた静かな草原に降る白い月の光に、ソフィアの微笑みがやけに幻想的に照らし出されていた。実際の所、何の光を受けた所でソフィアが綺麗と感じられるのは変わりはないのではあったが。別に贔屓目ではなく、彼女は本当に美しい少女だった。どちらかといえば美しいという形容詞よりは、可愛らしい、の方がしっくり来る容貌なのだが、透明に澄んだ光を浴びる彼女は、物語に出てくる精霊のように現実離れした美貌を備えていた。 但し、一言でも言葉を紡がせればそんな神秘さなどどこ吹く風だが。 「スカートの中見えるぞ」 「見たければどうぞ。スパッツ履いてるけど」 忠告してやるウィルに、ふふん、と鼻を鳴らすソフィア。寝転がったままウィルは、手を彼女のスカートの裾に伸ばして、指先でひょいとめくった。 「きゃあぁぁっ!? なにするのよっ!」 悲鳴とともに顔面に向かって打ち下ろされるかかとから慌てて逃げるようにウィルは身を起こした。 「どうぞって言ったじゃないか。嘘つき」 「見えたって別に恥ずかしくはないけどめくって見られちゃ恥ずかしいでしょうが!」 「確かに、多少痴漢行為なような気もしたけど」 「自覚あるならやんないでよ!」 怒ったように彼女は頬を膨らませたが、そのまま何事もなかったかのようにウィルの隣に腰を下ろしてきた。 「って、また聞きそびれるとこだったわ。ねぇ、何が欲しい? ヴァレンディについたら今度はあたしがおごるよ」 「何が欲しいって言われても」 困って顎に手を当てる。元々、物欲に乏しいたちなので、いきなり欲しいものはと聞かれてもすぐには思い浮かばないのだ。それ以前にヴァレンディが今現在、買い物などが出来るような状態かどうかというところからして怪しいというのは口には出さなかったが。しばらく考えて、やはり何も思い付かず、首を振る。 「差しあたって今必要なものはないからね。何もいらない」 「えー? 困ったなぁ。こないだも助けてもらったし、そろそろお礼しとかないと返済が大変そう……」 「返済って……変な所で律義だね、ソフィアは」 微笑みの形に目を細めて、ウィルは呟いた。遮るもののない大地を抜けるほんの少し肌寒い風が心地いい。が、彼より薄着のソフィアには少々冷たすぎたらしく、腕を手のひらでさすっている。 「欲しいもの……ねぇ」 呟きながら、ウィルはソフィアの肩を引き寄せて、自分の上着の中に包み込んだ。びっくりして彼女は見上げてきたが、敢えて気づかない振りをして、視線を地平線の方へ向けたままにしておく。しばらく居心地悪そうにしていたソフィアだったが、やがて彼の肩に頬を寄せて、目を閉じた。 暖かくて柔らかい、その心地よい感触に陶酔しながら、ウィルも目を閉じる。 キャンプ地からの遠いざわめきが微かに風に乗って流れてくる、星空の下の密室。ただそこで、お互いの体温だけを感じながら―― 「君が欲しい」 小さく響いたその声に、ソフィアは驚いた様子で頭を上げた。ウィルも、ゆっくりと目を開く。そして―― 後ろを振り向いた。 いつの間にか、後ろには赤黒い小山が形成されていた。固い鱗に覆われた巨体を、猫のように背中を丸めてうずくまらせるその小山のふもとに、頬杖をついて寝そべり、こちらを眺めている一人の少女。 まぎれもなく彼女の声だった。さっきの台詞は。 「リぃぃタぁぁぁぁっ!!」 「いやぁん。ウィルってば大胆☆ リタ恥ずかしい〜」 そんな事を言いながらリタは、傍らの赤い竜――バハムートの背中に手早くよじ登った。わなわなと震えるウィルが次に実行する行動が、彼女もまた分かっているのだ。 「消えろぉぉぉ!!」 こうっ! 丈の短い草を薙ぎ払って、白い一条の光線が竜の巨体と夜空を貫く――よりも一瞬早く、バハムートは僅かな音すら立てずに翼をはためかせ、漆黒の空へと浮かび上がった。竜は翼の羽ばたきを使って空を飛ぶのではない。魔力によって斥力を発生させ、それを用いて空に浮かぶのだ。だから、見上げるほどの巨体を持つにもかかわらず、ほとんど予備動作なしで瞬時に飛び立つ事ができる。 「ほほほほほ〜」 嘲笑うようなリタの笑い声が頭上から振ってくる。ウィルは腕を振り上げて数発、立て続けに光線を放った。が、人間ごときが遠くから放つ術など、天空の王者たる竜には掠るはずもなく、蜜蜂のように八の字に躍るその姿を奥歯を噛んで睨み上げるより他はなかった。 「君が欲しいだってっ。いやん、若さって素晴らしいわね〜」 「人の台詞を勝手に捏造するなッ!!」 叫び返すが、彼女が聞いているはずもない。哄笑を上げながら夜空に去って行くリタを、足を踏み鳴らしたいのを自制しながらウィルは見送った。 「全く……」 舌を鳴らしながら頭を掻く。ふとソフィアがまだリタの去った空を呆然と見詰めているのに気がついて、小さく咳払いした。 「あれの発言は気にすんな。まともな神経じゃ相手しきれないんだから」 「……ウィルって」 不意に、真剣な瞳で振り返ってきたソフィアに、ウィルは一瞬身構えた。今更だが、あれでも一応一国の王女であるリタと仲良く(?)しているのである。彼女には語った事のない出自について疑問を持たれても仕方はないだろう。彼女は神妙に眉を寄せたまま、小さく口を開く。 「あたしのこと欲しいの?」 がく。 頭に鳥のふんでも落とされたような奇妙な脱力感を覚えて、ウィルは肩を落とした。 「そっちかよ。……って、俺じゃないだろうが。言ったの」 「そうだけど……なんだぁ、違うの」 残念そうに呟くソフィアに、え?と視線を向ける。風に揺れる髪を片手で押さえながら、ソフィアはぽつりと呟いた。 「あたしはそれでもよかったんだけどな」 「なっ――」 さすがに彼女のその言葉には驚いて、ウィルは絶句した。否応無しに体温が上がって行く。彼女は、自分の言った言葉の意味を分かっていっているんだろうか―― それに考えが及んで、ほんの少し頭の中の冷静な部分が目を覚まし、彼女の事だぞ? と囁いてくる。 「え……と、それって具体的にどういうことだか……分かってる?」 心配になって思わず聞いてみると、ソフィアは頬を赤らめた。 (お、おいおいちょっと、これって……本当に……?) 彼女のその反応に戸惑いながらも、ウィルはソフィアに手を伸ばした。触れられて、恥ずかしそうに下を向く彼女の頬と耳元に、手のひらを添えて、自分の方を向かせる―― 視線を絡み合わせて。間近に迫ったソフィアの唇が僅かに開いて言葉を紡ぐ。 「具体的には……居間に寝転がってメシとかフロとか言うウィルにはいはいって答えてちゃんと用意する感じ?」 げフ。 思わず咳込んだウィルを、不思議そうな視線でソフィアは見詰めた。 「え、何かおかしいかな?」 「いや……おかしいって言うか……。ああ、お嫁に欲しいって意味ね……まあそれもかなり欲しいですが……」 それにしては随分夢のない家庭を夢見てるなぁなどと思いつつ、ウィルは涙を堪えて上を向いた。降ってきそうな星々が、心に沁みる。 ソフィアの頬から転げ落ちたウィルの手のひらに、彼女はそっと触れた。 「ずっと一緒にいられたらいいなあって、思ったから。あたしはそれでもいいと思ったんだけど」 あどけない子供のような笑顔で見上げてくるソフィアに、 (……まぁ、いいか) 心の中でそう呟いて、ウィルはソフィアを抱き寄せた。 「誓うよ。ずっと一緒にいる。絶対に君を離さない」 「うん」 ウィルの胸に顔を埋めたまま頷くソフィアの頭を撫でて、ウィルは瞳を閉じた。 (絶対に、離さない。もう二度と――) さらさらと夜空が風に囁く。歌を吟ずるように。 夜空にあまねく星。風に乱反射して煌く光は、涙を流しているようにも見えた。 |