Y.H.V.Hの
妄想夢宴会"2000・冬"

〜えあさん編 [中]〜



 手元でピクピクと動いているのを感じ、ウィルは掴んでいる物体を地面に投げ捨てるかのように手放した。しかしそれと同時に・・・

「うわっ!!」
「きゃっ!!」

 なんと、ウィルとソフィアが浴びた怒酢骸の返り血の一滴一滴が、小さな怒酢骸を形成した
 そしてその群れは、ウィルとソフィアの身体の中央に集まり、互いに手をつないでいく。まるで二人を囲む輪のように・・・
 輪の数は3つ。それぞれが小さな怒酢骸を形成し、手をつないでいる。そして次の瞬間、紅いロープとなり、二人は背中合わせで縛られていた

「ねぇ、ウィル。このロープって魔術で切れない?」
「それより君の馬鹿力でなんとかならないの?」
「馬鹿力ねぇ、ウィル〜」

 馬鹿力と言われて怒ったソフィアは、ちょっと怪しい笑顔をしながら、ウィルの尻をつねった

「いたっ!!! いきなり何すんだよソフィア」
「えっ? わたしが何かした?」
「君ねぇ・・・」

 やってないような顔つきでさらりと言うソフィアをみて、苦笑しているウィル。心の中では怒っているようである
 そんな中、ウィルが投げ捨てた物体がフワッと宙に浮き、ボッという音と共に蒼い炎に包まれた。その後、どこからともなく声が聞こえる。そう、怒酢骸の声が・・・

「ぬふふっ。二人とも仲がいいねぇ」
「どこだ、世界観崩壊の神!!」
「いや、世界観崩壊の神って言われても・・・
 それはともかく、僕はここだよ」

 その言葉と同時に、蒼い炎に照らし出されたウィル達の影から、スーっと出てくる怒酢骸。奴が影から全身を出した瞬間、蒼い炎に包まれた物体は、ウィル達の頭上に向かい、その後クラッカーが鳴った音と共に白衣へと姿を変える。 それを着に行くようにジャンプし、その白衣を着つつ、ウィル達の頭上で制止する怒酢骸だった

「ねぇ、怒酢骸さん。いつのまにすりかわったの?」

 ソフィアは怒酢骸に尋ねる。しかし返ってきた返事は・・・

「な・い・しょ☆」
「内緒って、あんたねぇ〜」

 ウィルがやさしいツッコミを入れる

「それはともかく、君達をいいところへ連れていってあげよう」
「いいところって?」
「ソフィア、あまり期待はしないほうがいいと思うけど・・・」
「あっ、ウィルもそう思う?」
「予想してたんかい!
 だったらべつに聞かなくても・・・」

 ソフィアにもツッコミを入れるウィルだった。そんなウィルとソフィアのやりとりの中、目を瞑って何かを念じる怒酢骸・・・
 突然クワッと目を開き、怒酢骸の瞳(らしい部分)から青白い光が放たれた
 ウィル達の足元に円形の魔法陣が現れる。その円の中には六芒星が描かれている。そしてその周りには、どこか怪しげな文字が刻まれていた
 パァ〜っと魔法陣からも青白い円柱状の光が空に向かって放たれた。ウィル達の身体が少しづつ消えていく・・・
 ウィル達が完全に姿を消した後、光の直径は小さくなっていった。いったいウィル達はどこへ行ったのか?
 光が消えて、魔法陣も無くなった後、怒酢骸の顔は笑顔で満ちていた

「またひとつ良い事をしてしまった・・・(ニヤリ)
 さてと、叫び声が聞こえた方向へ行くとするかっ」

 そう言いつつ怒酢骸は叫び声が聞こえた方向と異なる方向へ向かった。間違った方向とも知らずに・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 それとは別に、ここではこんな盛り上がりを見せていた・・・

「へぇ〜、リタさんって王女様なんだ。なんかすごいですね」
「でもバハムートちゃんがなつくなんて、ゆいさんもすごいわ」
「そうですか? バハムートちゃんが大人しいからですよ」

 などとリタとゆいが会話している。しかも、バハムートの背中に腰掛けて・・・
 ゆいよ、お前もだんだん怒酢骸じみてきたな・・・(作者の嘆き)
 そんな時、バハムートの頭上で、ビーダマサイズの青白い光の玉が現れた。それは徐々に広がっていく・・・




つ・づ・く・・・
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