Y.H.V.Hの
妄想夢宴会"2000・冬"

〜えあさん編 [後]〜



 光がある地点まで広がると、中から「うわ〜!」っという叫び声と共に、ウィルとソフィアが降ってきた。まだロープに縛られたままであり、しかも頭から下へと落ちてきた
 すると当然、バハムートの頭とぶつかるわけだが、背が高かったせいか、頭をぶつけたのはウィルだけだった。そしてそのままバハムートの頭上に倒れ、ソフィアの下敷きとなった

「キシャアァァ〜〜!」

 雄叫びを上げるバハムート。痛かったのだろうか?
 リタはバハムートを落ち着かせている。その間にゆいは空を飛び、バハムートの頭上へと向かった
 
「御二人ともこんばんは。デートですか?」

 二人の頬が少しばかり赤く染まる。ウィルとソフィアの時間はしばらく止まっていた
 その後、下敷きのウィルはハッと我に返り、手に魔力を集中する。どうやらロープを焼き切るようだ。しかし・・・

「おいっ、嘘だろ?」

 驚くのも無理はない、ロープがウィルの手にある炎を吸収しているからである。そしてロープは、さらに二人を締め付けるのであった
 ウィルは炎を出すのをやめ、自力でロープからの脱出を試みる。それを見てゆいは呟く

「も〜、ドスさんの仕業ね。やることすべて酷いんだから・・・」
「ねぇウィル、間接はずして脱出するのは?」
「止めといたほうがいいな。このロープはただのロープじゃないんだし・・・
 それにしても、たちが悪すぎるよあの人・・・」

 まったくである。ゆいはさっそくロープの分析を行い、頭の中で脱出方法を探った。そして・・・

「なるほどね。ちょっと危ないから、動かないでくださいね」

 ゆいはそう言うと、目からレーザーのようなものを放った。みるみる切れていくロープ。三本切れたところで放っているのを止め、ふぅ〜っと溜息を吐くゆいだった
 切れた三本の赤いロープはというと、そのままひらひらと闇の中へと消え去った。どこへ行ったのだろうか?
 三本のロープを気にしながら、ソフィアはゆいに礼を言う

「ありがとう、ゆいさん」
「どういたしまして
 ちなみに先程のロープは、魔法じゃなければOKでした
 そうですねぇ〜。焼き切るんだったら、バハムートちゃんの炎の息とか・・・」
「かなり危険な事をさらっと言いますね」

 さらっと言ったゆいに対し、ツッコミを入れるウィル。その後三人はリタのところへと戻った

「ゆいさん、御苦労様です」
「いえいえ。こちらこそ御迷惑をおかけしちゃって、すみません」
「それにしてもウィルって、今回はいい事無しね」
「ソフィアさん、しかたがないですよ。相手がドスさんですもの
 たまたまウィル君が、本気を出せなかったからじゃないかしら」

 ウィルは思う。もし怒酢骸を味方にしたらと・・・
 しかし、その結論を出すのに一分もかからなかった

(止めとこう。味方にも被害が広まる・・・(涙))

 そう思っていると、後ろからポンと肩を軽く叩き、ソフィアが話し掛けてきた

「そんなに落ちこまにでよ、ウィル
 そうだ! 中央の方に戻ろうよ。ねっ」
「あぁ、分かったよエルフィ・・・
 げふっげふっ、いやソフィア」

 キョトンとするソフィアだったが、バックの二人はウィルの恋路を応援している

「そのまま言っちゃえば、いい雰囲気でしたのにね」
「そうかしら、ゆいさん。でも、私達に構わずにどんと・・・」
「できるか〜!!」

 その外野の言葉に、ウィルは叫んだ。しかし、ソフィアにはさっぱりだったようである

「それでは、中央の方に行ってきます。行こう、ソフィア」
「えっ、あっ、うん
 それでは行ってきます、リタ王女。じゃあね、ゆいさん」
「いってらっしゃ〜い」
「頑張ってね、ウィル」

 その言葉が聞こえたのか、ちょっと赤くなるウィル。二人は宴会の中央へと戻った
 ウィル達が見えなくなると、ゆいはリタに話し掛けた

「では、私達は上空からこっそりと見物しましょうか?」
「そうね、ふふっ。バハムートちゃん、起きてる?」

 起きている事を伝えるかの如く、「キシャアァァ〜!」っと雄叫びを上げる。それを見たリタは、微笑みながらバハムートに命令する

「飛んで、バハムートちゃん。私達はこっそり後をつけるわよ」

 こっそりどころか派手だと思うが・・・
 そんなこんなで、上空へ上がった二人であった。その時二人の目には、落とし穴一つと、焼き芋屋の屋台が地中に埋まっていく様が見えたという・・・




お・わ・り・・・

全体バージョンへと続く・・・
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