Y.H.V.Hの
妄想夢宴会"2000・冬"

〜えあさん編 [前]〜



 月明かりが輝く夜の森は、宴で騒がしいままであるが、時が経つに連れ、次第にオーバーヒートしていく様は、まさに燃え盛る太陽の如くであった・・・

「ささっ、グイッといきなされYさん」
「武威さんもグイッといってくれないか」

 そんな中、Y.H.V.Hと叡智武威之神の語らいは続き、互いに飲ませあっていた
 そこへ話に割り込む、次世代大人と、天上天下雷舞Uの姿もある

「ワインを持ってきて良かったよ。これがないとね」
「さっそくワインですか、裏管理人」
「そういう教頭も飲むきマンマンですな」
「じゃ、次は日本酒ね」
「その次は何にしようか、Yさん」
「そうだな・・・」

 ふつふつと次の酒を考えるY.H.V.Hは、思い出したように前の3人に尋ねた

「ねぇ、そういえば怒酢骸はどうした?」

 Y.H.V.Hの質問に、前方の3人は「そういえば」といわんばかりの表情をしている
 
「たしか奥の方に入っていったっきりのような・・・」

 叡智武威之神は必死に思い出そうと努力しているが、単なる思いついたような発言であった
 そんな発言に、叡智武威之神を含む4人は、いやな予感を感じた。それは怒酢骸が迷惑掛け捲りつつ、改造しまくっているのではと・・・
 そして、次第にその不安は4人一斉に駆け巡り、声として出た

「まさか!!!」

 このたった一言の中にすべての不安が固まっている。そう、4人の不安が・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ふふふっ。今日はちょっとほろ酔い気分だな
 んっ、おやっ、あれは・・・」

 ほろ酔い気味で森の中を歩きまわる怒酢骸が見たものは、なにかしら良い雰囲気の若い男女であった。
 男は女の腕を握りつつ、そっと自分の胸に引き寄せる。女は少々抵抗しつつも、されるがままに男の目線に吸い込まれていく・・・
 二人が唇を重ねようとしたその瞬間、男の瞳に飛び込んできたのは・・・

「やぁ、ウィル君。はじめまして」

 怒酢骸の度アップな顔であった。しかも、距離にして数ミリあるかないかの距離である。女は怒酢骸の着ている白衣に顔が包まれる。そしてこの男女はしばらく時が止まっていた。おそらく彼等にとっては長い時間であっただろう。無理もない、いきなり目の前に怒酢骸というのは・・・
 男、つまりウィルだが、握っていた女の手を放しつつ、慌てて後ろへ軽くジャンプし、その場から離れた。その後、額に手をあて、頭の中で今の現象を整理する。なぜこんなところに不定の輩、怒酢骸がいるのかを・・・
 その間、くるりと振り返って、女の方に挨拶する怒酢骸・・・

「おやっ、誰かと思えばソフィアさんじゃないですか。はじめまして」
「こっ、こちらこそ」

 女、つまりソフィアだが、何がなんだか分からないまま返事をしたが、とりあえず落ち着くことに専念している。そこへ、状況を整理できたのか、ウィルが声をかけた

「こっ、こちらこそはじめまして、世界観崩壊の神様!!」

 せっかくの良い雰囲気を邪魔され、しかも心臓が止まりかけたせいもあろうか、ややキレ気味のウィルは皮肉をこめて言った。とはいえ、まだ驚きの感触はあり、心臓の鼓動は激しい

「ねぇ、ウィル? 何がなんだかわからないんだけど・・・」
「じゃあ、僕がウィル君に代わって説明するね
 ようするに、君達のキスシーンの中に僕が割って入って挨拶しただけなんだよ
 まっ、続きは別のところでしましょう。なんちゃって
 それとも僕の唇を奪ってみる?」

 結構ですといわんばかりに首を横に振るウィル。そんなウィルを冗談を交えながら、からかっている怒酢骸であった

「それはそうと、御二人さん。こんなところでラブシーンとは、見つかったら変な誤解をばらまくことには・・・、ならないか・・・
 まぁ、皆分かってることだしね。ぬふふっ」
「へっ、何のこと?」

 怒酢骸の言葉を聞いて多少の予想はついているのか、顔を赤くするウィル。しかし、その事が気になるのか、つい怒酢骸に尋ねてしまった
 そして、怒酢骸の返答は予想どうりであったが、ソフィアに聞こえないように、ウィルの耳元でニヤニヤしながら、そっと囁く

「こ・い・び・と・・・。ぬふふっ
 もう、バレバレでしょう。誤解は誤解を生み、それはすべて右手がドリルの少年へと託さ・・・」

 怒酢骸が言い終わるちょっと前のその瞬間に、ドリルの音と共に、怒酢骸の頭部が原形を残さなくなるぐらいにグチャグチャになっていった。そう、扇ヶ丘 学の登場である。しかも返り血を浴びつつ・・・
 その返り血を浴びたのは学ぶだけではなく、当然ウィルやソフィアも浴びている。ウィルは慌ててソフィアの目を左手で軽く覆った
 そんななか学は、登場ついでに怒酢骸の白衣を掴みつつ、一言った

「なんで、それを全部俺に託すんだ!!」

 他から見ると、死人に口無しの状態なので、変に見えるが、相手が相手なので問題はないはずであった
 しかし、どこからともなく、男の叫び声が響く

「ぎぃやあぁぁ〜○△×☆▽・・・!!」

 その声を聞きつけたのか、怒酢骸はその姿のままニヤリと微笑んだ

「おおっ、あの声は・・・、ラティスにでも会ったのかな?
 ちょっと僕いってくるから、学君ちょっと手を放してくれる?」

 いやだと言わんばかりに、さらに怒酢骸の頭部をドリルでえぐっていく学だった
 そして、原型のない怒酢骸の肉体をウィルに手渡した

「後は煮るなり焼くなりすればいいぞ」

 そういってその場から去っていった。方向は宴の中心部である
 学が闇の中に溶け込む頃、ソフィアは目を覆っているウィルの左手をどけ、学にて渡された物体を見た

「ねぇウィル、やっぱりこれって死んでるのかな?」
「普通は死んでいると見た方が・・・
 でもこの人だし・・・、生きてるのか、それとも俺達が悪い夢でも見ているかだな」
「そうね・・・」

 二人は戸惑いながらも会話していた。しかしそんな中、ウィルが右手に掴んでいる物体はピクリピクリと動いていた




つ・づ・く・・・
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