いわく――
大輪の薔薇。
鈴蘭。
食虫植物。
これらは以前、彼が、この大陸解放軍に所属するとある少女について、「彼女を花に例えると?」という題で何人かの男性構成員にアンケートを取った時の回答の一部である。彼自身が思いついた花はこの中には含まれていないが、これらの意見にもそれぞれ、もっともだと頷いてしまう説得力がある。
大輪の薔薇。
可憐にして気高いこの花は、鋭い攻撃的な刺を纏い、安易に触れようとする者に痛烈な洗礼を与える。
鈴蘭。
楚々とした、つつましやかな見目の花だが、その身にはひっそりと毒を宿している。
食虫植物。
これに至っては最早フォロー不可能。
ちなみにその他の回答についても、ホウセンカ(突如はじけておっかない)、紫陽花(ころころとその色を変える)、タンポポ(根が深い。とことん深い。どれだけ抜いてもまた生える)などこちらも、ああー、と思わず万人に感嘆の唸りを上げさせるものが目白押しだった。
……つまりそれがどう言うことなのかと問われれば、答えるべき言葉など一つしかない。
すなわち……
青年は、瞑目してそう呟いた。際立った特徴があるわけではないが、歳相応に低い声は、ゆっくりと落ちついた調子で物事を語れば、説法を解く神官のそれのようにも聞こえる。両の視界を閉ざす彼の真っ正面には、一人の少女がにこにことして立っていた。こちらは青年とは対称的に特徴が際立っており、それを一言で表現するならば、かなりの美少女であると言えた。それこそ、大輪の薔薇の華やかさと鈴蘭の清楚さを併せ持つ、類希なる美貌の持ち主だった。そこに満面の笑みを加えれば、既に溢れんばかりの魅力が、二倍にも三倍にもなるというものである。しかし青年は、目と鼻の先にあるその至高の芸術品を堪能しようと試みることなく――いやむしろきっぱりとあからさまにそこから逃げ出したい気分ありありな態度で――頑なに瞳を閉ざし続けていた。
時が、経つ。それはほんの数秒の事ではあったが、青年にとっては酷く悠長なカウントダウンであった。
「すなわち?」
少女が、小さく首を傾げて青年の先の発言を、そっくりそのまま繰り返してくる。その声もまた、外見にこれ以上なく相応しい、愛らしさに満ちた美声であった。妖精のような笑みを僅かたりとも崩さないまま、彼女は人差し指と中指でつまんだ一枚の紙切れを、すっと顔の高さに持ち上げた。
そこには前述した花の名が書き連ねてある。その意味と共に。
ついでにこのアンケートの対象者である少女の名――そしてそれは眼前で笑みを浮かべる少女の名でもある――も同様に明記してある。
「すなわち何かな、ウィル?」
春の陽光の如く穏やかに、彼女は告げる。
紙を持つのとは逆の手で、目の前の男の――彼女が、ウィルと呼んだ青年の襟首などを掴みつつ。
「……はうぁ……」
気の抜けた悲鳴。溜息。絶望の声。
そのどれとも取れるような音を、ウィルは口から垂れ流す。掴まれた襟首に不意に力が入れられ、刹那息が詰まる。
「か弱い女の子捕まえて食虫植物呼ばわりするかあぁぁぁッ!!?」
――どうやら食虫植物が一番気に入らなかったらしい。
そんなことを思いながら、彼は、轟、とばかりに虚空を駆ける。
……無論好き好んでそんな所を滑走しているわけではない。少女の細腕が、標準的な体型とは言え大の男をいともたやすく背負い投げの要領で放り投げたのだ。
世界の天地が逆になる、その認識と――
だんッ!!
背中に食らわされた爆発のような衝撃が、青年の身に同時に襲い来る。
意識を半分くらい吹き飛ばしたウィルは、夕暮れ時のように暗くなった視界の中でなんとか彼女の姿を探し出していた。
ぱんぱんと、小さな手のひらを勇ましく叩き合わせることで、彼女は仕置きの完了を宣言する。
「もう! 今度こんな失礼なこと言ったら、ひどいからね!」
……もう既に十分酷いのですがそれは俺の気の所為ですか?
呆然と――ただ呆然と。
今更外見とのギャップに驚いているわけでもないのだが、それでもただただ、放心して。彼は、去り行く彼女を見つめ続けていた。
花のように美しく、誇らしげで。けれども花に例えてしまったら、いかなる花でもそれ自体、燃えてしまいそうな苛烈な少女。
……つまりそれがどう言うことなのかと問われれば、答えるべき言葉など一つしかない。
すなわち――
彼女、ソフィア・アリエスとは、こういう少女なのである、と。
「隊長って、もしかしてマゾ?」
彼と同じテーブルについてカードを握る男の声は、問いかけの形を成している割には完全無欠の確信に満ちている。自分の手の中にあるカードから目を上げてウィルは、自分と同年代、二十歳に少し及ばないといった年齢の部下に険悪な視線を向けた。
「誰がだ、エルンスト」
「隊長って言ってるじゃないすか」
「今晩軍法会議にかけてやるから今のうちにレポート用紙十枚反省文書いとけよ」
「反省文もなにも」
と、ウィルの反対隣から、別の青年が声を上げた。やはり二人と同じくらいの年齢の男で、名をクリスと言う。
「あれで違いますって言ってもそっちの方が信憑性はないんですけど」
言いながら、クリスは自分の手札を表を向けて場に置いた。その瞬間二人は同時に、眉間にしわを寄せる。やはり申し合わせたように揃って、二人はカードをぶちまけた。
「またクリスかよ! てめ、いかさましてるんじゃないだろうな?」
幾分ウィルより手荒く放り投げたエルンストに、そのカードの所有者でもあるクリスが、してないよぉ、と唇を尖らせる。放り出された拍子に床に落ちたカードを拾おうと、テーブルの下に潜り込んだ彼の頭上で数枚の硬貨が乱暴に投げ出され、固い音を立てた。そのうち一つが先のカードと同じように下に落ち、転がり去ろうとするのも彼は追いかけなければならない羽目になる。
「もー。嫌がらせ?」
ひょこりとテーブルの上に顔を覗かせて頬を膨らませるクリスから、二人は目を逸らしている。犯人が分からなかった彼は不服そうに、椅子に座り直した。
「……だってさあ、隊長? アレはいくらなんでも、ソフィアじゃなくたって怒るって。まあ、普通はブン投げられたりはしないだろうけど、彼女ならやるって分かりきってることじゃん」
クリスが再び配り始めたカードを一枚ずつ手に取りながら、エルンストは先程の話題を続けてきた。その話題に乗るというよりはカードを確認した対戦者の表情を読むために、ウィルは青年の顔を見る。
「ってか、そのアンケート? 随分前のネタじゃないっすか。何であんなひたすらヤバいだけで必要でもないもん後生大事にとっとくかなあ?」
「わざわざ取っておいた訳じゃない。今日書類整理してたらその中から出てきたんだ」
「それをたまたま見られたわけ? かー、運ねー。こんな上官の下で働くのやだなー」
頭を抱えてぼやくエルンストの向かいで、クリスがカードからようやく視線を上げた。
「っていうか、書類の中にそんなの埋もれさせるから……まああの山の中じゃ書類も遭難するだろうけど。ちゃんと片付けとかしたほうがいいですよ、もっとこう……」
何やら言葉を捜している様子で、青年は指を空中で回す。
「……人間として」
「そこまで言う」
「ま、それはともかく良かったじゃないすか。殺されなくて済んで」
「まあ、ねえ」
無論、実際に彼女に怒りを賜って殺された人間がいるわけではないのだが、満面の笑顔で痛烈な打撃を繰り出してくる美しい少女の姿は、確かに、罪人の魂を裁きし死の世界へといざなう断罪の女神を思わせる。……今回も含め、大抵は相手方に大なり小なり非がある場合にしか刑は執行されないのだが、問題なのはその威力だ。ウィルも先の事件――もう数時間前になるが――では、十二分に警戒していたにも関わらず彼女の攻撃に対処できず、受身すら取れずに打ち据えられ、三十分はその場から離れることが叶わずうんうんとうめき続けていたのだ。
背中に鈍痛の残り香を感じて眉を寄せるウィルの隣で、確認した手札を慎重にテーブルに伏せながら、クリスはにっこりと笑った。
「しょうがないよ、彼女はこの解放軍で一番の腕利きだもん」
手札を伏せるのは、もう場からカードを引かない――つまりこの役で勝負するという合図である。ちなみに宣言すれば別に持ったままでも構わない。対戦者の笑みは彼女に対する心酔の表情なのか、いい役がきた喜びなのか。今のウィルにとってはそれが最たる重要事なのだが、残念ながら屈託のない相手の笑顔からそれは判別できなかった。目を細めて黙考し、ウィルは最終的には自分の手札もテーブルに伏せた。
「その辣腕を仲間に振るうのは俺的にはよして欲しいんですが。熱烈に」
「俺には、隊長がわざわざソフィアにちょっかいかけてるようにしか見えないんすけどねえ」
エルンストが声に笑みを含ませる。この笑みがウィルへのからかいなのかいい役が来た為なのかは……先程と同じ内容なので省略する。ふと思い出したように、彼は付け加えて、言った。
「隊長って、ソフィアに気があるんすか?」
「……はぁ!?」
意外な発言に心底驚いて、ウィルは素っ頓狂な声を上げた。彼がこれだけ驚愕をあらわにすることは、全くないとは言わないが、多数の部下を束ねる身としてそう多くはない。
「あ、思った以上の反応」
自分の発言の望外の成果に、手札を持ったままエルンストはにやりとする。もうカードを引く意思はないようだが、こちらのゲームを終わらせない為だろう。クリスも興が乗った様子で、ウィルの顔を覗き込んで来る。
「へぇ〜! そうだったんですか。何だ、言ってくれれば心の中で応援したのに」
「いらないよ! っていうか何でそうなる!?」
「だってなあ。隊長のこれは好きな女の子にちょっと意地悪しちゃう、そんな感じだよな」
「あー……、言われてみればそういう所、あるかも」
「ないってば! 今回はたまたまって言っただろ!?」
「今回じゃなくても。こないだも、ソフィアが取っといたクッキー食っちゃって、みぞおちぶん殴られてたし」
「わざとじゃない! ソフィアの食い物をそうと分かって横取りするほど命知らずじゃない!」
「案外けなげなんですねぇ」
二人に交互に言い込められ、ウィルはたまらず椅子から立ちあがった。
「けなげで誰が胃液ぶちまくか! 俺はっ……!」
――言いかけた言葉が。
不意に、彼に冷静さを取り戻させる。
言葉を切った上官を、二人の部下がきょとんと見上げる。ウィルは深呼吸をするように、大きく息を吐いた。
「……まだ若いこの命をこんな場所で無意味に散らせたくありません。戦場でだって死にたかないっつーのに」
「いや、そんな彼女と付き合ったって絶対死ぬってわけでもないし」
沈痛な面持ちで呟いたウィルに、冷や汗のようなものを垂らしながらエルンストが慰めるように告げる。が、しかしその台詞は微妙にフォローになっていない。絶対死ぬってわけじゃないって何だ。もしかしたら死ぬ場合もあるのか。
とすんと、重力に任せてウィルが腰を椅子に落としたその時。部屋の扉がノックもなしに突然開けられた。
「あ、隊長〜、こんな所にいたんですかぁ」
一人の少女だった――が、幸運にも、今しがた話題に上がっていたソフィアとは別人である。クリス達と同期のユーリンだ。
「あー。賭けカードやってる〜。いけないんだ〜」
「ユーリンもやる?」
「うん、やるぅ」
クリスの誘いにユーリンは嬉々として乗る。会話に一貫性がないが気にしてはいけない。少なくともウィルはそんな些事を気にかけるような無駄なしなかった。その代わりに、別の言葉を口にする。
「何? 俺を探してたんじゃなかったの?」
「あぁ、そうそう。ディルト様がですね、呼んでるんです。私室にお願いします」
「……やれやれ。めんどくさい王子様だな」
仕方なさそうに呟いて、席を立つウィルと入れ替わり、ユーリンがその席に着く。
「その賭けの勝ち金、くれてやるよ。ユーリン」
「ほんと? わーい」
ウィルが扉をくぐって出て行くのと同時に、ユーリンは伏せられたカードを返す。
「ただのツーペアじゃないですかぁー」
扉の向こうからそんな声を浴びながら、ウィルは目的の王子の居室に向かって歩き出した。
「あ、ウィルー」
この解放軍本拠地では、大人から子供まで含め、女性の声を聞くと言うことは実は珍しい事ではない。帝国軍の重圧から逃れた一般市民も多数、保護しているからである。六年も同じ場所に居を構えていれば、当然この地で出生した子供も少なくない。
その中でも随一の、小鳥のさえずりのような美声を耳にして、しかしウィルは突如弾かれたように猛ダッシュを始めていた。
「何で逃げるのよー」
という声はダッシュ開始五秒後、背中にぴったりと張りつくような音量で聞いたものだった。思わず、ウィルは後ろを振り向いた。
「追いついてるしぃぃ!?」
正確には、引き離せてないだけかもしれないが、そんな屁理屈を考える余裕はウィルにはなかった。彼は取りたてて俊足ではないが決して鈍足でもない。男と同レベルの脚力で猛然と追走してくる、標準よりも大分線の細い少女を目の当たりにして、誰が驚かずにいられようか。
振り向いてしまった事と廊下の終端に達してしまった事で、この追走劇は追跡者の勝利で幕を下ろした。
「やだなぁ、いきなり逃げ出さないでよ。あたしが何をしたってのよ」
「う……わ、そーいう、こと、いうし……」
「……この程度走ったくらいで息切らさないでよ」
たかだか四、五十メートルの全力疾走で息も絶え絶えになって膝に手をつくウィルを、ソフィアは笑いながら見下ろしている。
今は機嫌が良いようだ。……もっとも、笑いながら怒って人を投げる彼女の表情など、そうそう当てになるものではないが。
「で、何してたの?」
ひよこのように可愛らしく首を傾げて尋ねてくるソフィアに、ウィルは胡乱な視線を向けた。
「逃げてました。全力で逃げてました」
「それじゃなくって」
「……王子に呼ばれて、部屋行こうとしてたんだよ」
「ふぅん。じゃああたしも一緒に行くわ。丁度あたしも用事、あったの」
「…………え」
「何よ?」
「……いえ……おぢょーさまのエスコートが出来るなんて不肖ワタクシ、ウィル・サードニクス光栄極まりなくて逃げ出したいくらいです」
「ほほほ。何か良くわかんないけど苦しゅうないのでレッツゴー」
一方的に告げて、ソフィアは廊下の先に足を進め出した。このまま別方向に逃げて、別通路から目的地に向かおうかともウィルは考えたが、どうせまた追いつかれるのが関の山なので、やめておくことにした。怒りを覚えられていないのならば、別に一緒にいたくないような相手ではないのだ。
どこかびくついて後ろに付き従うウィルに不思議そうな目を向けて、ソフィアは、あ、と呟いた。
「もしかして、さっきのことまだ気にしてるの? もういいわよ、あたしもう気にしてないから」
何やら色々突っ込み所のある台詞だが、それよりも、彼はこの少女の一言で言えそうでとても言えない性格への興味の方が勝った。
気を晴らさない限り地獄の底まで追いかけて来そうな彼女だが、一旦気が済んでしまえばあっさりとそれを忘れ、恨みつらみを残さない。気風がいいと言うか、気持ちの良い性格ではある。危なっかしいほどにはた迷惑な性格の割に、友人に事欠かないのはこの辺りが由来しているのだろう。
花の名前――
皆好き放題に答えるはずである。
彼女は色とりどりの花。
その瞬間によって表情を変える、けれども常に、華。
「言っとくけどな」
ウィルの声に、ソフィアは長い髪をふわりとなびかせて、振り返る。
「食虫植物って言ったの、俺じゃないぞ」
告げると、少女はつぶらな瞳を更に丸くして、驚きの表情を作った。慌てて、ポケットの中から紙切れを取り出す。先ほどの紙だった。
「まだ持ってたのか」
「うん、だって薔薇とか言われるのは嬉しいもん」
「刺がどうこうとか書いてあるぞ」
「それもまた趣があって」
だったら食虫植物も何とか許して欲しいものである。とは、とりあえず、ウィルは言わないでおいたが。
「じゃあ、ウィルの答えって、どれ? 薔薇?」
「違うよ」
「鈴蘭?」
「違う。ってか、書いてない」
「じゃあ何て答えたの?」
紙から顔を上げて彼女は真っ直ぐにウィルの目を見上げる。
金に近い、淡い色の瞳の中に、ウィルは自分の姿が穢れなく鮮明に映し出されているのを見た。
姿形は全て美しい少女だが――
こういう所が、本当に綺麗だと思う。
太陽の光のように。
懐かしい、金色の輝きに満ちた日々のように。
こんなにも華やかなのに、切ないほどに、いとおしくなる。
――それは、エルンストが言っていたような恋愛感情とは違うものだけれど。
「さぁ。なんだろうね」
はぐらかすようにそう言うと、案の定、彼女は不服そうに唇を突き出した。
「なぁに? あたしが怒るような花なの?」
「どうだろうねぇ」
「教えてよぉ! 気になるじゃない!」
「……君が好きな花だよ」
「え?」
一瞬、虚を突かれたように彼女は口をぽかんと開けたが、すぐにその口をきゅっと締めて、熟考の体勢に入る。
「ん〜? あたし、好きな花いっぱいあるからなあ? ねえねえ、ヒントー! ええと、色、何色の花?」
「ヒントは無し。当たったら、そのうち花束にしてプレゼントしてやるよ」
「え? え? 本当? じゃあ頑張って当てるよ。そのうちって事は今の時期にはない花よね、春じゃなければ夏? 夏であたしの好きな花って、ええとぉ……」
本格的に考え込んでしまった彼女を見て、ウィルは小さく吹き出した。そんなに真剣に悩ませるほど難解な花を挙げたわけではない。時期が時期ならその辺りにいくらでも咲くような花だ。
もっとも、多少、花束という言葉に悩まされるかもしれない。あの花は、普通は花束になんてしないものだろう。自分の顔よりも大きい花が何輪も咲き誇る花束は、彼女は大喜びしそうだが。
大きな、何よりも大きな、太陽の恵みを一身に受ける花。
――太陽の光。金色の輝き。
追憶のイメージはあまりにもまばゆくて。そして彼女は彼にとって同じくらいまぶしくて。
つい、こんな些細なことでも彼女と思い出を重ねて見てしまう自分に彼は苦笑する。
ただ――
花のように美しく、尊く。けれども花に例えてしまったら、いかなる花でもそれ自体、燃えてしまいそうな苛烈な少女。
そんな彼女の炎にも、太陽の名を持つ花なら耐えられるだろうなと。
何となく、そう思っただけの話だったはずなのに。
- FIN -