会話1・ジムディタ
「なあジムゾン」
「何ですかディーターさん」
「告白……したいことがあるんだ」
「罪の告白ですか? 構いませんよ。しかしまさかあなたとうとう悪事に……………………」
「……何で口ごもる」
「いえ、愚問でした」
「…………」
「何故口ごもるのです」
「いやなんかお前がどういう目で俺を見てるのかはよく分かったからいいけど」
「分かっていただけて何よりです」
「…………」
「告解室は開いてますよ。場所分かります?」
「い、いや、ここでいい」
「? ここでいいって」
「告白したい相手は神様じゃねえんだ」
「?」
「お前になんだ、ジムゾン」
「はぁ」
「ジムゾン」
「はい」
「俺は」
「はい」
「俺は……っ」
「はい」
「お、俺はだな……っ」
「そうですか」
「いやまだ何も言ってねえし!?」
「だって前置きが長いんですもの。前置き長いのは神父の説教だけでいいですよ。つまり私の説教は前置き長くても背筋を伸ばして静聴しろという意味ですがね」
「マイウェイだなオイ!?」
「この村に赴任してきてからかれこれ5年で皆さんご理解頂けているかと思っていたのですが」
「自覚ありかよ!? ていうかぶっちゃけ故意か!」
「等身大の自分を知るということはとても良いことです。人間背伸びしても疲れるだけですよ」
「ああそうだなそうですね畜生」
「神父に向かって畜生などとは何たる暴言。私が羊肉好きなのに表向きにはそれを食すことが出来ないこのジレンマについての嫌がらせですかそうですか」
「何でそうなる!? てかお前表向きはって、レジーナの店で堂々とラムステーキ食ってるの見たことあるぞ!?」
「……見てはいけないものを見てしまったようですね、ディーターさん」
「満席のカウンターで二人前ぺろっと平らげて何抜かす!?」
「まあそこはそれ。そんなことはどうでもいいですからさっさと用事を述べてくださいません? 忙しいんですよ私はあなたのようなならず者と違って」
「きさまとゆー奴は……ッ」
「で? 俺は? なんです?」
「……俺はッ、」
「@3くらいでお願いしますね」
「…………ッ」
「@2」
「息を飲む音もカウントかよ!?」
「@1」
「っ、俺はそんなお前のことが好きなんだ馬っ鹿ヤローッ!!」
「@0……って、はぁ?……仕方ありませんね。[神父ジムゾンはならず者ディーターに話の続きを促した]」
「国違う!」
「さあ、この私を馬鹿呼ばわりした件について弁明をお聞きしようではありませんか」
「しかも追究点はそっちかよ!?」
「で?」
「……ッ……お前のその神父の癖にクソ尊大な態度がムカつきつつも可愛いんだよッ!! 悪いか!」
「…………」
「ジ、」
「…………」
「ジムゾ、ン?」
「…………」
「だ、黙る、なよ……わ、分かってるけどよ……返答し難い事を言ったってのはよ」
「いえ、返答し難いというか。これはまたマゾっぽいことを、と少し感心していました。その全身の傷は伊達ではありませんね」
「こ・れ・は、そういうプレイでついたんじゃないッ! つか何、お前、お前に惚れることがマゾっぽいってご自分で分かってらっしゃっていらっしゃるのですかジムゾン神父様、いや俺も少しそう思うけど!」
「…………」
「……ジムゾン」
「はい」
「俺は、本気だからな……っ」
「……ふむ。まああなたが柄にもなく頬を染めてそんな事を口走っている自爆するほどの似合わなさを考えれば本気である事は疑っていませんが。というか冗談だったら寒すぎ?」
「冗談じゃなくたって寒いとか思ってるんだろどーせ!?」
「いいえ」
「ほ、本当か?」
「しかしあなたのお話を受けるかどうかはまた別です」
「っ、そ、そりゃ……そうだよ、な……男から急にこんなこと言われたって……困る……よな」
「…………」
「しかも神父だもんな、だ、男色なんて御法度に決まってるよ……な」
「ふむ」
「い、いやっ、いいんだっ、こんなのは、このまま忘れてくれてっ」
「私が上ならいいですよ」
「……は……?」
「私 が 上 な ら い い で す よ ?」
「…………ッ? 上って、ちょ、待、俺が、あの、……受け入れる方を担当しろと?」
「不満ですか?」
「いやふま、不満ていうか、考えてなかっ……」
「ではこの話はなかったこ」
「上でいいですお願いしますッ!」
END
- INDEX -
一年程前に日記に投下したテキストの再録(微妙に修正)。小説の体裁を保っていないとかは気にしてはいけない。今更。
神父のイメージは慇懃無礼、ディタはガラの悪いいい人、なのでBBSでもそんなRPで演ってる二人に出会うと何だかとても嬉しくなって多少怪しくても吊りたくなくなってくる。若しくは墓に自分と一緒に連れ込みたくなる。